測量士
測量士試験は独学で合格可能です。
そもそも受験者数が少ないので、講座もそんなにないのではないでしょうか?測量士補は土地家屋調査士の午前免除するには鉄板なので受験者数がありますが、測量士自体は特定の大学学部を卒業後に一定の実務経験を積むことで申請で取得できるので試験で資格取得をする人が少ないです。
学歴+実務経験の資格取得条件は以下の通りです。
・大学であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者で、測量に関し一年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第1号)
・短期大学又は高等専門学校であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該短期大学等を卒業した者で、測量に関し三年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第2号)
・測量に関する専門の養成施設であって第51条の2から第51条の4までの規定により国土交通大臣の登録を受けたものにおいて一年以上測量士補となるために必要な専門の知識及び技能を修得した者で、測量に関し二年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第3号)
・測量士補で、測量に関する専門の養成施設であって第51条の2から第51条の4までの規定により国土交通大臣の登録を受けたものにおいて高度の専門の知識及び技能を修得した者(測量法第50条第4号)
そしてこれとは別に国家試験の合格によって資格要件を満たすことができます。
・国土地理院の長が行う測量士試験に合格した者(測量法第50条第5号)
なので、どのような人が受験するかと言うと、ひとつは実務経験で資格を申請できない学部を卒業している場合です。例えば文系の学部を卒業した後に何らかの理由で測量業の仕事に携わり資格が欲しいと思ったときですね。もうひとつは早期に取得したいときです。実務経験は1年以上にかかりますし、種類を書くのも大変。それならいっそのこと試験に受かった方が早いのでは?と考えると受験になります。
受験資格要件:なし
試験時間:午前150分+午後150分の計5時間
試験方式:筆記試験
[1]午前の試験は択一式で、出題数は計28問です。
[2]午後の試験は記述式で、出題数は必須問題1題と選択問題4題(基準点測量、地形・写真測量、地図編集、応用測量)とし、設問数をそれぞれ4問の計20問です。
[3]選択問題は、4題のうち2題を受験者が任意に選択できます。
合格基準点および配点:
午前は択一式で、1問当たり25点で700点満点です。午後は記述式で、必須問題1題は300点、選択問題4題は各200点で700点満点です。午前の択一式の点数が400点以上で、かつ午前の点数と午後の点数の合計が910点以上の者が合格となります。(午前は400点未満で足切り)
合格率:5%~15%ほど(年のよってばらつきがあります)
試験内容:
(1)測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
(2)多角測量
(3)汎地球測位システム測量
(4)水準測量
(5)地形測量
(6)写真測量
(7)地図編集
(8)応用測量
(9)地理情報システム
合格体験および勉強方法
勉強方法
(受験年度 令和2年度 合格率7.7%)
令和2年5月17日(日)が試験予定でしたが、コロナ騒動により11月に延期されました。それによって受ける試験が過密日程になり試験勉強も詰め込みになってしまいました。
5月の本来の試験日までテキストを読み終え、問題集も一回り解きました。
テキストも問題集も市販のものが存在しないので、日本測量協会が発行している受験テキストと科目別模範解答集を使いました。
測量士試験は5月から土地家屋調査士試験の終了まで放置し、10月半ばから再度過去問を解き始めました。
結局、テキストを一回り、過去問を二回りだけです。
私の場合は、積や合成関数の微分は当然できるし、テイラー展開、行列の転置や方程式、偏微分など扱えるものが多いので、かなり解きやすかったです。もちろん複素数で回転させるとかもできます。2次正方行列(2×2行列)なら誘導なしで固有値や固有ベクトル求めてn乗を求められます。私の世代は高校で行列を習っていたし、当然のように大学の範囲も教わっていたから計算ではまったく苦労しませんでした。
公式を覚えて当てはめている人もいるかもしれませんが、誤差の計算とかはほとんど偏微分で式を求められるので覚える計算式は半分ほどで済むはずです。逆に計算できないとどの式を使うか判断できないのでは?
ちなみに過去問の解説も間違いがあるので、しっかり理解していないと間違いとか気づかないと思います。間違った解説があっても何の訂正もされません。それくらい受験者が少ないので自力ですべてなんとかするしかないですよ。
合格体験記
この年に受けた5つの試験の中では一番勉強した試験ですが、けっこうレベルは高いですよ。
たぶん受けた人はみな同じ感想を持つと思いますが、択一式と記述の必答問題で合否が決まります。択一式で65%は最低取らないとまずいですが、ここでプラスアルファを取らないときついです。
あと、レベル的な話で、高校生ではやや無理があります。高校範囲の微分積分が完璧で、行列やその他高校で習わないものは計算公式を暗記することになるけど、分かりもしない公式を暗記しても使いこなせません。
ネットだと「比例式は最低知らないと解けない」と書いてあるブログもあるけど、そんなレベルでは受からないよ。
(比例式:a:b=c:d ⇔ a/b=c/d ⇔ ad=bc)
それでも、計算が煩雑なので、一度解いて検算すると一致しないことが多発して、3~5回解き直した問題もあります。落ち着いて解き直すと一致するのでそこは自分を信じました。
午後の記述は1問必答、4問から2問選択だけど、複数解いてから後で選ぶほどの時間はありません。パラパラ眺めてこれとこれって感じで選んだら後はひたすら解くのみ。でないと時間的に間に合いません。計3問解くことはできても、4~5問解いて後で選ぶことは難しいです。
結局、一番慣れた(1問目から3問目までの)問題を選びました。
測量士試験に言えることは、過去問はあまり遡らない方が良いです。たぶん他の資格より技術の進歩が速くて、問題の正解が変わるんだと思います。(新しい技術がマニュアル化されたり。)特に昨年の問題はしっかりやった方が良いです。”2年連続でない?”とかそんなことはないです。新しいほど大事だと思ってください。
結果は合格です。見事合格率7.7%の壁を超えました。
時間配分の話をしておくと、午前は時間があまります。速めに退出してご飯食べて午後の勉強をし直すのもありです。午後はまったく余裕なしです。終了10分ほど前には終わりますが、早めに退出するほどの余裕はなかったです。
この年は名古屋の受験が岐阜に変更になって岐阜大学だったのですが、測量士試験の終了より少し早く測量士補試験が終わりバス停にはすでに長蛇の列。早めに退出すればもっと早く帰れたのかもと思いつつ、測量士試験の終了でさらに列が増え、帰宅困難でした。たぶんイレギュラーだと思いますが、交通の便によっては帰宅が遅くなるかもしれないとだけ覚えておきましょう。帰宅時間より合格優先だけどね。