学校の先生は正しく教えられるのか?
学校の先生が正しく教えられるのか?
この疑問を持つ親は少なくない。ときどき、明らかにデタラメを教えている先生に出くわすくらいなので当然の疑問です。とは言え、一般的には学校の先生が教えられないとは信じがたい保護者の方も多いようです。
教員免許を取るには、大学で教育学部を出るか、その他の学部で教職課程を履修するかなのですがこのどちらを出たかでかなり違います。
教育学部を出ると、教育に関する講義が多く専門科目に関しては非常に学習量が少なくなります。また、小学校や中学校の教員免許には専門性はほとんどありません。
その他の学部の出身で教職課程を履修して教員免許を取得すると専門性はありますが、小学校の教員免許は取得できません。
なので、小学校の教員はひとつひとつの学問の専門性は理解していないことになります。すべての科目を教えるのですべての科目を専門的に学ぶこと自体が難しいので仕方のないことです。オールラウンドプレーヤーですから。
中学校、高校の教員は専門の科目を教えるのですが、専門を学んだ人と学んでいない人がいます。
現在の大学では教員免許を取得できる大学が非常に多いです。
では、専門を学ばずに学校の先生になって教えれらるか?と言う疑問ですが、学問を教えられない先生が大多数で、一部正しく理解して教えているというのが現状です。
学問を教えられない先生は何を教えているのか?それは、問題の解き方だけです。ほとんどの学校の先生は問題の解き方を教えているだけで問題の本質を教えることはできないのです。
正しく教えていない実例
例1:2次関数の問題
問題 2次関数 y=x^2 を 点(1,1)に関して対象移動した2次関数を求めよ。
この答えを求めるときに
x → - ( x – 1 ) + 1 、 y → - ( y – 1 ) + 1
のように点対象にして求めるなら良いのですが、
図形として頂点が(2,2)で上に凸になるから y = – ( x – 2 )^2+2 と答えていませんか。
答えは合っていますが、不正確若しくは不足しています。なぜかわかりますか?
点対象とは点に対して180°回転することです。しかし、頂点を決めて上下をひっくり返すと線対象になるので、点対象にはなりません。
でも、答えは一致します。なぜでしょうか?
これは2次関数は放物線で頂点を通る軸に対して左右対称なので左右をひっくり返す必要がないからです。
y=x^2 をy軸で線対象に動かしても y=x^2 で変わらないと言うことです。
ではこの、頂点が(2,2)で上に凸になるから y = – ( x – 2 )^2+2 という解答は正解でしょうか?
間違いとは言いませんが減点です。上下しか変えていないなら線対象だからです。放物線が軸に対して対象だからと理由を言えていなければ減点です。
答えが合っていればよいとお考えの人は数学をできるようにはなりませんよ。数学は答えが合っているかではなく途中の考え方の過程が合っているかを学ぶ学問なので。
学校の先生でも、塾の先生でも、点対象なのにも関わらず、上下しか変えず線対象として教えていたり、そもそも先生自身が答えを求めているだけで、点対象であることを分かっていないこともあります。
モンティ・ホール問題
同様に確からしいを学校や塾で正しく教わっていますか?
続いて有名なモンティ・ホール問題です。この問題を知らない人はまず自身で答えをお考え下さい。
問題
プレーヤーの前に閉じた3つの扉があって、1つの扉の後ろには景品の新車が、2つの扉の後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車の扉を当てると新車がもらえる。プレーヤーが1つの扉を選択した後、司会のモンティが残りの扉のうちヤギがいる扉を開けてヤギを見せる。
ここでプレーヤーは、最初に選んだ扉を、残っている開けられていない扉に変更してもよいと言われる。
ここでプレーヤーはドアを変更すべきだろうか?
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条件の確認
(1) 3つのド扉(A, B, C) に(景品、ヤギ、ヤギ)がランダムに入っている。
(2) プレーヤーは扉を1つ選ぶ。
(3) モンティは残りの扉のうち1つを必ず開ける。
(4) モンティの開ける扉は、必ずヤギの入っている扉である。
(5) モンティはプレーヤーに扉を選びなおしてよいと必ず言う。
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答えは決まりましたか?
答えは変更した方が当たりの確率が上がるです。変更した方が良いということ。
同様に確からしい
この解説をする前に分かっていて欲しいことは確率が計算できるときは、事前に確率が分かっているときか同様に確からしいときであると言うこと。
さいころを振って1の目が出る確率を1/6とするのはどの目がでる確率も同様に確からしいと条件を付けるからですよね。
例えばじゃんけんをするときに、グー、チョキ、パーを出す確率がそれぞれ1/3として計算するのも、何を出すかが同様に確からしいという条件の下で計算されています。
A君はグーを出しやすく、B君は最初にチョキをだす傾向にありますと言った場合には確率の計算はできません。同様に確からしいと言う条件に当てはまらず、正しい確率もわからないからです。
A君はグーを1/2、チョキ1/4、パー1/4の確率で出します。
とか、
B君は最初は必ずチョキを出しますが、1回目でアイコのときは2回目以降は何を出すかは均等です。
のようであれば、計算をすることができます。
さて、問題です。
B君は最初は必ずチョキを出し2回目以降は何を出すか同様に確からしいです。A君はそのことを知っています。A君がB君にじゃんけんを1回して勝つ確率を求めよ。ただし、A君は勝つための最善の手を出すものとします。
はい。答えは1です。100%ってことです。最初に必ずチョキを出すことを知っていればグーを出せば勝てます。
モンティ・ホール問題の解説
3つの扉があって、当たりは一つなので、どれを選んでも当たる確率は1/3です。
次に選んでいない扉のうち外れを見せます。この状態で最初に選んだ扉ともう一つの残りの扉でどちらが当たりの確率が高いかですが、残りの扉の方が確率が高いです。
これを条件付き確率だと勘違いする人は同じだと思うのです。このはずれの扉がランダムで選ばれたものなら、どちらも1/2となります。条件付き確率だと(1/3)/(2/3)となるからです。
しかしこれは条件付き確率ではありません。
なぜかと言うと、外れの扉を見せるときはランダムではないので、同様に確からしいではないからです。
(1) 3つのド扉(A, B, C) に(景品、ヤギ、ヤギ)がランダムに入っている。←同様に確からしい
(2) プレーヤーは扉を1つ選ぶ。←同様に確からしい
(3) モンティは残りの扉のうち1つを必ず開ける。
(4) モンティの開ける扉は、必ずヤギの入っている扉である。←同様に確からしいではない
(5) モンティはプレーヤーに扉を選びなおしてよいと必ず言う。
(1)~(5)までのうち(3),(4)の行動がランダムではない、つまり同様に確からしいではないからです。残りの扉をランダムで開いてたまたま外れだったといっているのではなく、外れを確認して扉を開けています。つまりここだけ意図的に扉を選んでいるので同様に確からしいにはならず、確率が分かっているときに当たります。
最初に選んだ扉が当たる確率は1/3です。残りの2つも1/3ずつです。外れの扉を開けたので、その扉が当たりの確率1/3はどこかに移るはずです。どこに移るのか?それはまだ開けていない残りの扉です。外れの扉を開けるとは1(100%)の確率で外れるので、開けたその扉の当たる確率は0。最初に選んだ扉が当たる確率は1/3。当然、まだ開けていない残りの扉の確率は2/3となります。
モンティ・ホール問題の状況を変えて分かりやすくします
100本の中に1本当たり入っているくじがあります。
A君はこの中から1本引きます。
この時点で残りは”1本当たり98本外れ”か”99本の外れ”です。←どちらの確率が高いか分かりますよね?
B君は残りの99本を握り、98本分の外れ確認してA君に見せます。
A君がもっている1本のくじと、B君がもっているまだ確認していない1本のくじはどちらが当たりの確率が高いでしょう?
ね、B君の残りの1本のくじの方が確率が高いでしょ?だって、99本引いて、外れのくじを見せただけなんだら。A君が当たる確率は1/100で、B君が当たる確率は99/100なんです。簡単に言うとB君は99本のくじを引いて、98本の外れを捨てただけですから、1本しか引いていないA君と99本引いたB君なら当たる確率が高いのは必然的にB君になります。
騙される人の特徴と正しく教える難しさ
モンティ・ホール問題を別の角度で質問です。
プレーヤーの前に閉じた3つの扉があって、1つの扉の後ろには景品の新車が、2つの扉の後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車の扉を当てると新車がもらえる。
それぞれの扉は当たる確率が1/3、外れの確率が2/3です。
全部の扉を開けると外れを引く確率は2/3+2/3+2/3=2になります。外れが2つあるので当然です。
そうですよね?
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どう思いました?そんなわけないと思いました?それとも確かにそうだなぁと思いました?
もちろん間違いですよ。確率って1(100%)を超えることがないので。
3つとも扉を開けると、外れを引く確率は、外れが0個の確率0+外れが1個の確率0+外れが2個の確率1+外れが3個の確率0=(0+0+1+0で)1になります。
では、2/3+2/3+2/3=2は間違いでしょうか?間違いならどこかおかしかったのでしょうか?
これは重複しています。最初の外れ2/3の中に後の扉が外れる確率を含んでいます。2回ずつ重複して数えてしまったので、ちょうど2倍になってしまいました。
最初に確率が2でおかしいと思いましたか?これでおかしいと思わなかった人は詐欺に合いやすいですよ。重複しているって理由が分からなかった人も。
間違っていると分かっても確信をもって間違っている理由が説明できないと、もしかしたら、間違いではないのかもと弱気になり、合っているのかな?に変わってしまいます。
今回は明らかに1を超えているので気づきやすいですが、これ重複して60%くらいの確率に設定すると意外と騙されやすいのですよ。本当っぽい数字とか、自分がなんとなく期待してしまう確率って信じてしまいたくなるものです。
間違いに気づかなかった人も間違いを説明できなかった人も騙されないようにお気を付けください。
正しく教える難しさ
学校であれ、塾であれ、どこを目指して教えているかと言うと受験です。専門学校であれば試験合格です。
そのこと自体は悪いとは思いません。ただ、合格のための学習が身になる学習であるとは限らないと言うこと。
そして、ときに問題を解くためだけの理解は、問題の本質を理解するときに壁となり、同じ問題でないと解けないと言う状況に陥ると言うことです。
さて、みなさんは、”学校で教えてもらった問題は解けるのに、違う問題を見ると解けない”とか、”学校のテストはできるけど模試になると手が出ない”なんてことはありませんか?
それは問題の理解ではなく、問題の解き方の理解に終始しているのではないでしょうか?
学校や塾の先生が問題の解き方を教えているのではないでしょうか?
例1の点対象の話は学校や塾で正しく教えてもらえますか?
例2の確率は同様に確からしいとは何であるかを教えてくれますか?
一度、数学の確率の授業で大事な言葉に線を引かせる先生を見たことがあります。
「同様に確からしいに線を引いて」
線を引くと同様に確からしいの意味が分かるのでしょうか?言葉が大事なのではなく、理解が大事であることを忘れているのではないでしょうか?言葉は大事ですが、この言葉を覚えたところで理解には結びつきません。
伸び悩む人、説明を聞いても分からない人、学校の授業が合わない人、違う問題を見ると何も手が出ない人、私が力になりますよ。相談してみませんか?
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