住宅メーカーが詐欺の疑い

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倒産した建築会社

建設業の倒産件数をご存じですか?

建設業における2022年の倒産件数は1204件と前年から12.9%増えています。

夢に見たマイホームが建たないなんて受け入れがたいですよね。大手のハウスメーカーであれ、地場工務店であれ、経営状態を把握しておかないと後々後悔するということですが、そんな簡単に把握出来たら誰だってしますよね。

1週間ほど前になりますが、住宅建設の手付金をだまし取ったとして、愛知県尾張旭市の住宅メーカーの社長が逮捕されました。この事件は詳細を知りたくて何度かニュースを見て気にしていたところに逮捕のニュースを発見しました。

2021年9月の事件で2023年5月に逮捕ってけっこう時間がかかるんですね。

このようなことが起きないように事件の概要を説明しますので注意喚起になればと思います。

事件の概要

2021年9月に愛知県知立市の女性から、住宅の建築工事の手付金50万円をだまし取った詐欺の疑いで建築会社の社長が逮捕されました。結局、家を建てることはなく、その年の11月に破産手続きを開始しました。

この建築会社は住宅を建てる際にずさんな工事を繰り返し、客からのクレームが入ると、その都度、追加で工事を行っていたらしいです。

客に住宅を引き渡していない事例は20件以上あり、これらの契約で客からは約7億5000万円が支払われていたということです。

この手の話は倒産が分かっていたにも関わらずという部分が大事なのですが、”債務超過で家を建てられる経営状態ではなかった”とか”2020年3月から2021年7月までに、会社が支払うべき厚生年金や健康保険など、あわせて1400万円ほどを滞納していた”という事実が決定的であったわけではなさそうです。

決定的だったのには午前に弁護士に倒産の相談をしておきながら、午後に手付金を受け取っているという部分が決定的だったようです。

注意喚起

消費税の支払い

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この事件では建築会社が不動産業も経営していたことから、土地と建物をセットで販売し、土地と建物代金をひっくり返すということをしていたそうです。

土地の売買には消費税がかからず、建物の売買には消費税がかかるからです。

例で言うと、土地1500万円+建物3000万円で土地と建物を購入すると合計4500万円ですが、消費税が300万円かかります。

これを土地3000万円+建物1500万円で土地と建物を購入すると合計4500万円ですが、消費税が150万円で済みます。150万円お得なわけですが、脱税の可能性があります。

これは税金対策などではないです。販売者も購入者も脱税の疑いをかけられますよ。

元々土地が1500万円であることを知ったうえで、土地と建物の代金をひっくり返すという説明を受けて購入しているので、どちらも脱税の可能性があります。

今回は販売者は倒産していて追徴課税の支払い能力がないのでどうなるかはわかりませんけど。

日本の税金って50種類もあるし、インボイス制度の話を聞いていると税理士でも理解できていないように感じるので、この事件のように騙されてしまうのですかね。でも、本来1500万円のものを2倍の値段で買うリスクは承知していたように思います。

売買契約と請負契約の違い

土地や建物の購入ですが、契約書に売買契約と書かれていますか?請負契約と書かれていますか?

このふたつはかなり違うのでご注意を。

売買契約

建売などの戸建て住宅のように出来上がったものを購入するときに売買契約になります。

売買契約でも同時履行が原則です。例えば銀行などでローン契約をして支払ったときに、建物のカギの引き渡しを受けるように、支払いと引き渡しが同時に行われます。(秒単位では同時にはなりませんが一般的な意味で同時履行になります)

もう一つ重要なのが、手付金の保全措置です。宅建業法は手付金の保全措置を定めて買主を保護しています。売主(不動産会社)が倒産した場合、買主は多大な損害を被ることにもなります。そのような場合に備え、宅建業法は、手付金の保全措置として、銀行、保険事業者などによる保証を義務付けています。

※1 対象物件が未完成の場合には、手付金が契約代金の5%以下の場合で、かつ、手付金額が政令で定める額以下である場合には、銀行・保険事業者による保証は不要であるとしています(宅建業法41条1項但書)。

※2 対象物件が完成している場合や中古物件である場合には、手付金が契約代金の10%以下で、かつ、政令で定める額以下である場合には、宅建業者の協会、銀行、保険事業者のいずれの保証も不要であると定めています(宅建業法41条の2第1項但書)。

今回の事件では1500万円の土地を3000万円で購入する契約して、支払ったうえで引き渡しまで受けているので差額の保証などはありません。

請負契約

注文住宅のように、家を建ててくださいと言うような契約です。仕事の完成を目的とした契約です。

請負人は請負契約により仕事完成義務を負います。注文者は請負契約により報酬支払義務を負います。

同時履行の原則として、報酬は仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければいけないという規定があるため、当然の前提として仕事の完成が要求されているというわけですが、実務上は特約によって完成前に段階を踏んで支払うことが多いという現状があります。

所謂、契約金、着手金、中間金などです。もちろん引き渡し時には残額を支払って清算します。

ここで重要なのは引き渡し前の契約金、着手金、中間金などは保全措置が取られないと言うことです。保全措置は「売主が宅建業者」であり「買主が宅建業者でない一般消費者」の「売買契約」の場合にのみ適用されます。なので請負契約には適応されません。

また、契約金、着手金、中間金などは建築会社に払いますが、建築会社がどの物件に使うかは自由です。契約金、着手金、中間金を支払うと当然自分の物件に使ってくれるものと思うかもしれせんが、建築会社に支払うのであって、自分の物件の資材に指定して支払うのではないということです。

建築会社からすると契約金、着手金、中間金を別の物件に当てて完成させて、その支払いでまた次の物件を建てるようなことが日常的にあります。そもそも建築会社の売上高なのでそれをどの物件に使うかは建築会社が決めます。

なので、自分が支払ったお金が自分の物件に使われていないことは充分あり得ることだと思ってください。

メリット・デメリット

売買契約のメリットは保全措置があることが大きなメリットです。また、すでの出来上がっているか、出来上がってから代金を支払うのでリスクは少ないです。

逆に建売だとすでに完成しているので建築途中を見れない、つまり壁の中までは確認できないってところですね。

請負契約のメリットは、間取りを決める楽しみや出来上がっていく過程を見れるってことですね。途中でおかしなことがあれば気づけるかもしれません。

デメリットは保全措置がないこと。引き渡される前に分割して支払うのでそこはリスクがあります。

この事件での重要なポイント

土地と建物の代金をひっくり返したことで消費税が浮くというのが購入者側の視点ですが、建築会社側の視点では何が起こっているか気づきますか?

土地1500万円+建物3000万円をひっくり返す建築会社側の理由です。

本来、土地代1500万円と契約金300万円の1800万円くらいが建物契約時の支払金額です。契約金は建物代金の10%ほどなので。

これを土地3000万円+建物1500万円にすると土地代3000万円+契約金150万円で3150万円です。本当の土地代が1500万円なので、建物代金の1650万円/3000万円=55%も支払われています。着工前に代金の55%も支払っていることになるのです。

これがいかに危険なことかは結末を知ると分かると思います。

この建築会社が客に住宅を引き渡していない事例は20件以上あり、これらの契約で客からは約7億5000万円が支払われていたということなので、1件あたり3000万円ほど受け取っていたと言うことになります。

少しでも安くという気持ちは分かりますが、安い理由をしっかり考えて注意しましょう。これ大丈夫かな?と思ったときはぜひご相談ください。

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